ふらふらつらつらレビューブログ

いろいろなもの、こと、サービスをレビューします

【書籍】エイズの起源

 

 今回は書籍の紹介です。

 

 

エイズの起源

 

 エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群、Wikipediaの記事)は、HIVというウイルス感染によって引き起こされる疾患です。HIV(1と2がありますが、HIV-1 が主流)に感染した後に、10年前後かけて徐々に体の中の免疫細胞が破壊されて免疫がはたらかなくなり、いろいろな感染症や悪性腫瘍が発生した状態をエイズと呼びます。

 エイズ は1981年にはじめてアメリカで見つかりました。その後世界中にひろがり、今では世界3大感染症の1つです。2500万人以上がこの病気で命を落としています。

 このエイズが、どのようにして現れたのか、そしてどのようにひろがったのか、ということを扱っているのが本書です。エイズに関して、1981年の発見以前の出来事を扱った本はこの本以外にはほとんどなく、ウイルスはどこから来たのか? 感染はなぜ拡大したのか?などに迫ったものとしてこの本は唯一と言って良いでしょう。

 

 1921年頃、中部アフリカで始まったチンパンジーのサル免疫不全ウイルスのヒト感染が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)となった。当時アフリカ大陸を植民地化していたヨーロッパの医療が感染を広げる結果となっり、貧困による売春がこれをふやし、その後はカリブ海へ。そしてアメリカに入り、世界的流行につながっていく。

 この本は、世界でもっともひろがっている HIV がどのように発生してひろがっていったかを、丁寧に丁寧にしらべて書いている本です。文献を丁寧にひき、不明な点やわからないことは、正直に書いており、説得力もとても大きい。翻訳も良いですね。

 CHOICE Outstanding Academic Title賞、2011年ラジオカナダ科学賞受賞作です。

 大変におすすめできる、良書です。